HOME会員募集 > 設立趣意書

1.趣旨

近年、世界各国の経済はサプライチェーンにより国際的に密接につながり、各国ともに、重要事業の継続を脅かすリスクへ備えることの重要性が一層高まってきている。
日本は、世界的にみても自然災害の多く、企業部門・政府部門とも自然災害が最大リスクとみられることが多いが、2004年の夏以降、梅雨前線豪雨、史上最多の10個の台風の上陸、新潟県中越地震が続き、2005年にも福岡県西方沖地震等の地震や台風被害が発生したため、災害リスクの大きさが改めて内外で注目され、重要事業継続(BC)のための対策の必要性に迫られている。
日本政府は、2005年以降、米国、英国等の先進諸国で普及が進んだ事業継続計画(BCP)・事業継続管理(BCM)の取組みを日本でも促進すべく、ガイドラインを相次いで発表してきた。また、中央防災会議は、首都直下地震に備え中央政府の事業継続(BC)対策の必要性を指摘し、また、防災基本計画に企業が事業継続計画(BCP)策定に努めるべきことを盛り込んだ。このため、各地における企業・団体にも事業継続(BC)の取組みの必要性の認識が広がってきている。
さらに、事業継続(BC)について国際標準規格(ISO)化の動きが始まり、日本もその動向に的確に対応していくことが必要となっている。
ところが、国内において、現在、事業継続(BC)の取組みを指導・支援する能力のある企業・団体は限られ、人材も不足している。加えて、事業継続(BC)の国際的な相互調整や内容向上の取組みはまさにこれからであり、調整・交渉、調査研究を行う専門家の確保も急がれる。しかし、そのような教育・訓練ができる機関も限られているのが実情である。
このため、今日の日本で事業継続(BC)の取組みを指導・支援し、または研究対象としている人材、団体が幅広く連携協力し、事業継続(BC)の普及啓発、人材育成等を有効に推進していく組織を構成することにより、その活動を強め、広げていくことが急務となっている。


もとより、事業継続(BC)は、災害、事故、事件等のリスクへの対策として、すべての企業・団体が取り組むことが望まれる備えである。また、事業継続(BC)は一つの企業・団体で閉じるものでなく、取引先・関係先も対策を講じないと効果が上がらないものであるため、中小企業を含むすべての企業、市町村、各種団体に至るすべての組織・団体で相応の取組みが必要となる。このため、事業継続(BC)の推進に資する体制整備、人材確保等が実施されれば、幅広い主体の利益に寄与することとなる。
また、事業継続(BC)の取組みの普及は、大規模地震をはじめとする災害、事故、事件等のリスクの経済・社会的な影響を軽減するだけでなく、地域の安全・安心・発展に寄与する方策の一つの柱であり、これにより利益を受ける者はすべての国民に及ぶものである。


以上で述べた状況の改善を図るためには、事業継続(BC)の理解促進活動、項目・内容の標準化、専門家の育成、調査・研究、最新情報の提供、先進的な企業や団体に対する表彰などの事業を組織的、体系的に行うことが必要である。これらの事業は、いずれも不特定多数の個人、企業、団体に対して広く働きかけ、連携協力して行うものであり、それに際して、組織としての物資・労働力の調達、業務の委託・受託、講習・出版活動、知的財産を含む財算の管理等が必要となるため、法人格を有することが不可欠である。



2.申請に至るまでの経緯

2005年8月に中央防災会議のガイドラインが発表され、政府がすべての業種、業態にわたり事業継続(BC)の推進することを明確にし、体系のモデルも示された。これを受けて、事業継続(BC)に関する有識者、支援業務を行っている各団体の専門家の多くが、拡大が見込まれる事業継続(BC)のへの支援ニーズに応えるため、相互に協力・調整する場が必要であるとの認識で一致した。その後、2005年秋以降の準備的な会合を経て、事業継続推進機構を特定非営利活動法人として設立する構想が熟し、2006年1月19日には、19名による設立総会を経て申請に至った。


発起人のうちの多くは、中央防災会議ワーキンググループによる「事業継続ガイドライン」の策定に有識者または企業オブザーバーの形で参画し、また、他の政府のガイドラインの策定、国際標準規格(ISO)化に向けた政府の委員会等での検討に参加し、協力してきた。また、政府や各種経済団体が主催するセミナー、シンポジウム等に積極的に協力してきたところである。  事業継続推進機構の設立後は、このような発起人の個々の公益的な取組みを組織的な対応として拡大し、一層有効な社会貢献を行うことを、主要業務の一つと位置づけることとする。


2006年1月19日


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